フィリピン国内の起業や海外企業の進出が引き続き堅調を保ち、経済の中心マカティ市ではオフィスレンタル事業が好調だ。
フィリピンでは起業が盛んで、ビジネススクールにも多くの若者が押しかける。起業のための会社登記は住居用のマンションの1室ではできないため、会社設立のためには事務所の賃貸が必要となる。経済の中心マカティ市の空きオフィスは非常に少なくなっており、空室率2%というデータもあるほど。事務所の契約の際に会社登記が求められることも多く、「事務所がないと会社登記できず、会社登記がないと事務所が借りられない」という永遠の矛盾が発生する。会社登記が無いとインターネットなどのインフラも準備できず、行政の不備や書類の不備で会社登記が遅延すると業務も始められなくなってしまう。
こうした状況の中、活況なのがサービスオフィス事業。利用者は即日、事務所を利用して打ち合わせや事務作業ができる。マカティ市で2カ所のサービスオフィスを展開する「ACCELER8(アクセラー・エイト)」が2015年8月にオープンしたサルセドビレッジのサービスオフィスは、ほぼ満室が続き、今年7月にはサルセドビレッジに700平方メートルの新拠点をオープンした。
創業者のひとり、ミコさんは「フィリピンの会社登記は制度が複雑で時間がかかる。進出企業の駐在予定者は立ち上げ中も事務所が必要だが、フィリピンのオフィスは12カ月契約が必要。契約時に会社登記を求められることも多く、会社登記のためにオフィスを探している進出企業や起業家には大きな障害となっている。サービスオフィスならば明日から業務でき引っ越しも簡単」とサービスオフィスのメリットを強調する。
レガスピビレッジの新オフィスは大小さまざまな21室のサービスオフィスと共用スペースを用意する。利用者は利用者同士で情報交換できるというメリットもあり、運営者の紹介でビジネスマッチングなどもしてくれるという。「1万9000人の起業家やビジネスマンのネットワークがあり、ビジネスのことから法務、会計税務なども相談できるようになっている。今後もサービスオフィスを利用する大きなメリットとしてネットワークは強化していきたい」とミコさんは胸を張る。
「将来ビッグビジネスを生み出す起業家と共に事業がしたい」とサービスオフィス事業を始めたミコさん。サービスオフィスの難しさは利用者が短期間で事業を拡大したり失敗したりで退去してしまうこと。「初めて訪れる人たちが、これから始まるビジネスに胸をときめかせるような空間作りをしたい」とも。
共用スペースの利用料金は1日550ペソ(=約1,300円)、サービスオフィスは3人用の12平方メートルで月額約7万ペソ(=約14万7,000円)。
サービスオフィスは24時間利用でき、共用スペースの利用は8時30分~19時30分。