日本で肉の生食が禁止された影響を受け、マニラ首都圏で日本人旅行者の間で牛肉の生食が人気を集めている。
マニラ首都圏で焼き肉は高級だが人気のある外食。日本製の無煙ロースターなど設備も充実している。長い間、日本から牛肉の輸入が禁止されていたので霜降りの「和牛」は少ない。昨年、輸入解禁されたが関税が高く、和牛はフィリピンで最も高価な食べ物の一つとなっている。
日本では牛肉の生食はほぼ禁止となったが、フィリピンでは健在。日本食料理店や焼き肉店などで「レバーの刺し身」や「ユッケ」が提供される。
数店に取材したところ、レバーの刺し身、ユッケともに全て日本産の和牛を空輸で週に2回ほど取り寄せている。値段は500ペソ(=約1,400円)~1000ペソ(=約2,800円)ほど。日本と同様にショウガじょうゆやニンニクに塩とごま油をつけて提供される。
フィリピンでは肉を生食する習慣はなく、保存状況も悪く、牛肉自体あまり食べない。焼き肉でもじっくり中まで火を通すことが多い。マラテの5つ星ホテルの中にある焼き肉店に来ていたローリー・ベルナルドさんは「日本の焼き肉はフィリピンのローカルビーフと比べて柔らかくジューシーで大好き。日本人はまだ焼けてないのに食べるが、あれは日本のメソッド(食べ方)なのか。生肉やレバーの刺し身は絶対に食べない、きっとおいしくないだろうし、第一グロテスク。理解できない」と肉の生食には拒否反応を示す。
マニラ首都圏は急速にさまざまな国の高級レストランが増えてきており、「カルパッチョ」などで生肉やミディアムレアで血の滴るようなステーキを提供する店も増えてきている。魚の刺し身やすしがかなり定着してきているように、すぐに肉の生食も受け入れられるようになるという意見もある一方、気温が高いマニラでは食中毒を懸念する声もある。