マニラ首都圏ケソンシティーとマカティ市のGreenbeltを含む5つの会場で8月2日から10日まで、インディペンデント映画祭「The Cinemalaya Philippine Independent Film Festival 」2014が開催された。
フィリピン文化センター(CCP)が運営するシネマラヤ基金によって2005年から始まったこの映画祭は、インディーズ製作への支援を目的に掲げており、フィリピンの若手映画作家が国内外で活躍する登竜門となっている。これまでに東京国際映画祭や米アカデミー賞も高く評価されたジュン・ロブレス・ラナや東京フィルメックスでも紹介されたハンナ・エスピアなど、この映画祭から出発して国際的に活躍するフィリピンの若手映像作家が多く巣立ってきている。
今年の「New Breed」部門のコンペティションでBest Film賞に輝いたのは、フィリピン南部ミンダナオ島北東部カラガ地方に位置する南アグサン州の湿地帯で起こった実話を元にした、「BWAYA(crocodile)」。
ストーリーは、2009年、先住民族マノボ族が水上生活を営むこの村で、12歳の少女がワニに襲われた。巨大ワニを含む動植物と長年共生してきたマノボ族にとってこのニュースは大きな衝撃を与え、瞬く間にフィリピン中へと広がっていった…というもの。
同作品は事件に巻き込まれた少女の家族や村人たちの悲しみ、また自然と人間の共生についての考察を、マノボ族の神話であるワニの神に例えて神秘的に描いていた。
Directors Showcase部門からは、フィリピンのゲイ・ムービーのパイオニア的存在であるJoselito Altarejosによる「KASAL」が、短編部門からは、女流監督Sari Estradaによる、ある一頭のヤギを亡くなった祖父の生まれ変わりだと幼い息子に伝える温かな家族ドラマ「Asan Si Lolo Me? / Where's Grandpa Me?」がBest Film賞をそれぞれ受賞した。
また今年は10周年を迎えたことから「A Decade of Connecting Dimensions」と名付けられた。来年はセブ島での開催を予定している。