フィリピン航空は4月4日、マニラ空港ターミナル2の国際便利用客に出国手続きに時間がかかる可能性があるとして、出発時間4~5時間前のチェックインカウンター到着を呼び掛けた。
今回の出国手続きの遅れは2月7日に残業代が支払われない事を理由に職員が32人退職し、50人以上が転職のため休職したことによる。ドゥテルテ大統領がエクスプレスレーンの手数料を積み立てて作った基金から残業代を支払うことを禁じたため、残業代を含め4万8,000ペソあった給与が1万6,000ペソに激減した事が背景にあるという。
イワン・モレンテ移民局長は全ての休職願の許可を取り消し、全職員に速やかに職場に戻るよう命令し、従わない場合は無断欠勤として行政上の処罰を与えると警告した。他の部署の職員にも空港への応援を依頼し緊急事態を乗り切る構えだ。
モレンテ局長は残業手当の打ち切りには反対の立場を表明し、新法を制定して恒久的な残業手当の財源を確保するよう求めている。
フィリピンは雨期も終わり気温が高くなる「夏」と呼ばれる観光シーズンを迎え空港利用客が増加しており、4月13日~16日のホーリーウイークと呼ばれる大型連休には出稼ぎ労働者の一時帰国も重なり国際線の空港利用客数はピークを迎える。世界的な空港満足度調査の度にワースト5にランクインするマニラ空港は汚名返上が空港関係者の悲願となっており、混乱収拾に万全を期す。
現在のところ、ターミナル2では大きな混雑はなく平常通りの状況となっている。現地ガイドによれば「フィリピンでは突如制度が変わってしまうことも珍しくない。何かと問題の多い空港なので利用客は余裕を持って空港に向かってほしい」と呼び掛ける。