今年のフィリピンのクリスマスは、季節外れの大型台風の接近や花火禁止を目指すドゥテルテ政権の意向もあり例年より静かなものとなった。
フィリピンは年間を通じ平均気温が20度を下回る月はない常夏の国。雪は降らず、12月でも市民はTシャツに短パンのような夏着で生活する中、街の至る所にはクリスマスツリーやサンタのデコレーションが飾り付けられる。
9月からクリスマスの準備が始まり「アドバンスハッピークリスマス(先取りクリスマス)セール」なども開催。北極星をかたどったといわれる「パロール」というクリスマスの飾り付けはほぼ一年中販売されている。
熱心なキリスト教徒が多く、信者たちはクリスマスイブから新年まで教会でほぼ毎日開かれるミサに出向き祈りをささげる。レストランやバーでは職場や友人同士のクリスマスパーティーが連日催される。恒例になっているのは花火と爆竹で、クリスマスイブやクリスマスの夜は街の至る所に花火爆竹のゴミが散らかる。大量の火薬を使った違法花火や違法爆竹も横行しており、例年けが人も多数発生。酔って拳銃を乱射する者もおり、このシーズンの旅行者には花火や群衆に近づかないよう呼び掛けられている。
しかし、6月に就任したドゥテルテ大統領はクリスマスから新年にかけての花火の使用禁止を公約しており、今年はマニラ首都圏や周辺では花火禁止を自治体が呼び掛けている。
以前、友人が違法花火で指に大けがを負ったというアリー・ドゥカンポさんは「花火禁止はさびしい気持ちもあるが、危ないので賛成。台風も近づき花火が少なくクリスマスも少し変な気持ちだったが、歌を歌ったりしながら新年も迎えればいい。家族と過ごせればハッピーだ」と話す。
花火製造業者はドゥテルテ政権の方針は死活問題であるとして、「業界団体の自主規制を作成し、より安全な花火作りを始めて理解を得たい」としている。