マニラ首都圏の庶民の足として活躍する乗り物「Jeepny(ジープニー)」の豪華なカスタムカーが注目を集めている。
ジープニーの起源は米軍払い下げのジープ型乗用車を乗り合いバスに改造したもの。一番多かった車種「ジープ」と乗り合いバスを意味する英語から名付けられた。
主要道は路線バスが運行し、ジープニーが隙間を埋める密度の高い運行を行っている。乗客はジープニー胴体などに書かれた「出発地、経由地、終点」を見て乗車し、降りたいところで天井をたたくなどして運転手に知らせる。料金は7ペソ(=約16円)、運転手以外に車掌などはいないワンマン運行で、後方座席からは乗客の手を伝って運転手にお金が運ばれ、お釣りも運転手から乗客のリレーで返される。
1953年からジープニーを製造する「SARAO Moters Inc(サラオ・モーターズ・インク)」では、これまで2万台以上を作ってきた。現在は年間40~50台を製造する。エンジン付きの完成車は70万ペソ(=約160万円)、シャシーとボディーのみは30万ペソ(=約68万5,000円)。エンジンは4~5年経過のISUZU製の中古ディーゼルエンジンがメイン。製造期間は3カ月程度。
ジープニーの代名詞豪華な飾り付けは集客のためではなくオーナーの趣味。通常2万~3万ペソ程度で飾り付ける。昔は競うように豪華に飾り付けたが、収益とは関係がないためシンプルになりつつある。渋滞が激しく乗車時間が長くなる傾向があり、冷房付や快適なシートなど乗客に喜ばれる設備は近年人気という。
フィリピンの象徴的な乗り物ということもあり、自家用マイクロバスをジープニー仕様にしてほしいという注文も多くあり、総革張り、冷房完備の豪華なジープニーの注文が増えているという。
社長のエド・サラオさんは「ジープニーはフィリピン人には必要不可欠な乗り物。整備不良や危険な運転、排ガス規制などいろいろな問題に直面しているが、クールで乗り心地の良いジープニーを今後も作りたい」と抱負を話す。「豪華なジープニーは手作りの自信作。カスタマイズはいろいろできるので相談してほしい」とも。