マニラ首都圏で大ブームとなった「日本式ラーメン」が転換期を迎えている。
マニラ首都圏では昨年だけで30店舗以上の日本式ラーメン店がオープンしたといわれており、ラーメンブームが続いてきた。新規開店する大型ショッピングモール内のラーメン店は行列ができ、一般の労働者の1日の給料額以上のラーメンが飛ぶように売れる現象は異常な光景と言われてきた。
現地の進出にも携わったことがある30代のマーケティング会社社長はこうした状況変化について、「日本式ラーメンならば高い単価でも売れるという神話は2015年半ば以降崩壊した」と話す。マカティ市内のフランチャイズ型ラーメン店でも、1食350ペソ(=約980円)以上の単価設定で開業当初こそランチタイムもそこそこの客入りだったものの、数カ月経過すると客足はまばらとなり空席が目立つ。
一方、同市RCBCプラザビル内の3階フードコートに今年4月開業した「ラーメン黒田」は、200ペソ弱の単価設定。開業から7カ月たった今もランチタイムは満席となる。開業したばかりの「日本台所」も、80ペソ(=約224円)からの単価設定で人気を集める。
新規出店は今後も続くものの、タギッグ市グローバルシティーで人気を集めたラーメン店など撤退する店舗も増えるという。
同社長は「フィリピンでは飲食や小売業は参入が厳しく制限されており外国人は経営することはできない。いくつもの難関をクリアしてもフィリピンの事情に精通し心をつかむことができないと今後の展開は厳しいものになる」とも。今後もラーメン市場の変動に注目が集まる。