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マニラ首都圏で大型コンドミニアムの建設進む 投資はトラブルも

建設中止となり数年来マカティの一等地で雨ざらしとなるビル

建設中止となり数年来マカティの一等地で雨ざらしとなるビル

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高層ビルの建設ラッシュが続くマニラ首都圏で大型コンドミニアムが続々と完成し、新築物件が急増している。

雨ざらし物件が建設再開されることも

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 マニラ首都圏では中流層が拡大しており、一段高い生活水準への旺盛な需要がある。高級コンドミニアムも高い需要に支えられながら急速に数を増やしてきた。10数年前は草原に近い状態だったタッギク市のグローバルシティーは現在高層商業ビルや高級コンドミニアムが立ち並び、その発展ぶりは経済の中心マカティ市に追いつく勢いだ。

 今後も大型モールを併設した物件やホテルとコラボレートした物件などが続々完成の予定。日本では米国大統領選挙で一躍有名になったトランプ氏の名を冠した56階建ての複合ビルも来年完成の予定という。

 鉄道が整備されていないマニラ首都圏では、年々悪化する渋滞の影響で住職近接が重要視されており、マカティ市中心部やグローバルシティーでは経済が好調な限り引き続き高い住宅需要がある。

 好調な不動産市場に目を付け、投資として複数のコンドミニアムを所有するフィリピン人も多い。フィリピンでは外国人の土地所有は認められていないが、コンドミニアムは所有することができ、利回りや転売を狙い新築物件を購入する外国人も多い。

 新築コンドミニアム購入希望者は「プレビルド」と呼ばれる、新築コンドミニアムの販売予約権を購入し物件完成まで毎月数千~数万ペソずつ「ダウンペイメント」と呼ばれる割賦金を支払い完成時に残金を一括決済する購入方法が主流。人気物件は完成の数年前に完売してしまうほど。業者はダウンペイメント支払い分を建設費用に充てられ、購入者は完成後よりも安い価格で好みの部屋を手に入れられるメリットがある。

 しかし、購入をキャンセルする場合、一度支払ったダウンペイメントは戻ってこない事が多く、予約権を転売することも非常に難度が高くトラブルにつながることもある。

 マニラ首都圏の老舗不動産業者は「国内の物件も運用したことがなく、英語もタガログ語もろくに分からない日本人が購入資金無しに投資目的でダウンペイメントを始めることはトラブルにつながり危険」と警鐘を鳴らす。「コンドミニアムは『不動』産という言葉の通り、すぐに現金化はできない。流動性があるのはマカティ中心部だけでその他の場所は簡単には転売できない」と転売目的での購入に疑問を呈す。

 賃貸での運用の場合も物件によっては非常に高額の管理費を請求されることもあり、毎年の固定資産税の支払いも計算に入れると赤字になる場合もある。転売目的に購入された物件には誰も住んでおらず、空室率が6割を超えるコンドミニアムもあり、これらが全て賃貸市場に出てくれば供給過剰との声もある。

 「中国の入居率が極めて低い投資物件『鬼城』とまでは言わないが、郊外の物件は今後新築ラッシュで入居率は必然的に下がる。家賃収入を狙う場合はそのリスクも考慮して投資する必要がある」と活況を別の視点で分析する。

 日本の建物ではないので、マニラのコンドミニアム販売には日本の不動産免許も必要なく、悪質な業者やにわか業者も多く注意が必要。マニラ在住の40代投資アドバイザーは「フィリピンで起きることは全て自己責任、不安が少しでもあるなら、フィリピンでは何もしないほうがいい」と警告する。

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