フィリピン全土に8月、緊急電話番号「911」が設定される。
フィリピンでは現在、交通事故、火事や事件などの場合、近くの警察、市役所やバランガイ(町内会のような最小自治組織)、消防署に直接連絡をする。行政は完全な縦割りで、管轄の部署につながるまで「たらい回し」にされ、電話をかけ直す状況となっている。電話も常に混雑しており、「つながる」までにも長い時間が必要となっている。
このような状況下で脳卒中や心筋梗塞など緊急の対応を要する病気を発症した場合、救命の可能性が非常に悪くなるという現実がある。
新設される911番エマージェンシーコールは火災、事件、事故、急病などの緊急時のポータルナンバーとして利用することができ、利用者はたらい回しにされることなくサービスなどを利用できる。
ドゥテルテ新大統領が長く市長を務めたミンダナオ島最大の町「ダバオ市」では2002年からすでに導入されており、50万件の利用があったとされる。
新大統領の就任から3週間たち、マニラ首都圏では違法カート販売が少なくなっているほか、空港職員による弾丸混入脅迫事件の終息宣言が出されるなど目に見える形で市民は変化を感じており、初の支持率調査では9割を超える市民からの支持を集めている。
一方、麻薬の売人などが何者かに殺され路上にさらし者になるような凶悪事件が数百件も起き、実績か法の支配かといった議論が起こりつつもある。「途上国であるフィリピンがより発展していく生みの苦しみを味わっている」と論評する地元紙もあり、変化に向き合う市民の覚悟が試されている。