マニラのタクシー初乗り運賃40ペソ(=約104円、空港タクシーは70ペソ)が3月9日より10ペソ引き下げられ30ペソ(=約78円)となる。
マニラのタクシー利用客には好意的に受け止められており、マカティ市内の大型複合ショッピングモール「グリーンベルト」でタクシーを待つアナ・アト-ナさんは「ガソリン代が安くなったので値下げは当然のこと。タクシーはよく使うので運賃が下がるのはうれしい」と表情を緩める。
一方、タクシードライバーは今回の値下げに強い不満を持っており、タクシードライバーの仕事で家族7人を養っているというアントニオさんは「タクシーを会社から1日2,000ペソ(=約5,200円)で借りて営業している。運賃値下げはほとんどのタクシードライバーの生活を直撃する死活問題。ガソリン代は下がったが元に戻っただけで安くはなっていない。ガソリン代以外の物価は上がったまま、タクシードライバーの家族はガソリンを飲んで生活しているのではない」と憤慨する。
マニラ首都圏では渋滞が深刻な問題となっており、平日、市内の主要道はかなり渋滞する。政府は渋滞解消に向け2,870億ペソ(=約7,462億円)をかけ鉄道整備を進める計画などを打ち出している。
渋滞があるから無理な運転をしたりや抜け道と称して生活道路を走行するドライバーが子どもなどと交通事故を起こすことも多い。「タクシードライバーは給料制ではないので早く目的地まで利用客を運ばないと稼ぐことができない。マニラはどこも渋滞しておりタクシードライバーは儲かる仕事ではない。運賃を改定する前に渋滞の対策をしてほしい」とアントニオさん。
運賃は3月9日から改定されるが、タクシーメーターの改定は間に合わず利用客は精算時に支払運賃から10ペソを引いて支払うことになるという。支払時の混乱やトラブルを危惧する声も多い。