フィリピン政府は昨年11月、推進していた3000台の電動トライシクルの導入計画を断念した。
当初計画ではアジア開発銀行(ADB)の融資を受け10万台のガソリントライシクルを電動に置き換える計画だった。日本のメーカーが受注し、3000台の導入計画の内1600台はすでに生産済みだという。
常夏のフィリピンでは、市民は短い距離の移動にもサイドカー付き自転車の「ペディキャブ」やサイドカー付きオートバイの「トライシクル」を利用する。
トライシクルは古いものが多く黒煙を噴き上げて走行するため、古いエンジンを搭載したジプニーなどと共に大気汚染の原因と問題視されている。
電動トライシクル導入計画に関しては、トライシクルのドライバーの売り上げは1日300ペソ程度と、高価な電動トライシクルでは原価償却できないことや、フィリピンは雨が多く、集中的に降るため各所に「バハ」と呼ばれる冠水地帯ができひどいところは1メートル以上も冠水することから雨に弱い電動トライシクルでは雨期は仕事にならないなどの問題が懸念されてきた。ユニット交換がメインとなる電動トライシクルではメンテナンス料も高価になり、高容量のバッテリーは重く舗装が良くないフィリピンの道では運用できないなどの問題も指摘されていた。
同国エネルギー省はコスト高を理由に計画を断念するとしており、メーカー製造済みの1600台は買い取る方針。