6月中旬からマニラは一日に何度かのスコールが訪れるようになり本格的な雨期に突入した。
マニラは平均気温28度の熱帯海洋性気候。12月~6月は乾期で雨がほとんど降らず、7月~11月は「レイニーシーズン」と現地では呼ばれ1日1回は雨が降る。マニラでは1日中雨が降ることはまれで、短時間・集中的で、降る地域も非常に狭く、日本のゲリラ豪雨のような雨「スコール」が降ったと思うと1、2時間程度で晴天に戻ることもよくあるのが特徴。
雨期のマニラで大きな問題になっているのが「冠水(かんすい)」。舗装された道路の排水が雨量に追いつかず、雨のたびにマニラの各所が冠水し、大きな池や川が出来上がる。直接、雨が降らなかった地域でも周辺の雨水が流れ込み冠水してしまうことも。1メートル近く冠水する場所も多く、大きな道路には水が流れ込みやすく大渋滞を引き起こし交通がまひ状態となる。
冠水の原因は短時間、集中的という雨の降り方だけではなく人為的な側面もある。マニラの経済の中心地マカティ市の小売店で現在、原則ビニール製の「レジ袋」が廃止されている。捨てられた「レジ袋」が排水溝をふさぎ「洪水」とも呼べるような大規模な冠水を引き起こしたため。代わりに「レジ袋」として利用される紙袋は非常にもろく評判は悪いが、冠水を防ぐために導入され効果を上げている。
市内では先日起きたケソンシティーでの大規模な冠水も、料理店などから流される廃油が下水に詰まったため引き起こされた人為的なものと判明し、市民からの批判が集まっている。
マニラ首都圏のタクシードライバーのニモ・ゴンザレスさんは「冠水は非常に危険で死者も出る。衛生面でも上下水の逆流なども非常に大きな問題。冠水が起きれば首都圏の交通は遮断されてしまい大渋滞がとなり経済的な損失も重大。水没してしまえば車は『パタイ(死ぬというタガログ語)』だ。早く解決してほしい」と訴える。