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マニラのコンドミニアム2016年は大量供給 賃料は値下がり傾向に

建設途中で放棄されることも

建設途中で放棄されることも

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 マニラ首都圏の高級マンション「コンドミニアム」の建設完了引き渡しがピークを迎える。

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 マニラ首都圏は近年空前の建設ラッシュで、経済の中心地マカティや新興の商業エリアグローバルシティー(BGC)では建設中のコンドミニアムを多く見ることができる。

 不動産コンサル会社コリアーズの2016年2月リポートによれば2015年の新規完成のコンドミニアム供給は、マカティビジネスエリアでは1000戸、BGCでは2779戸だった。2016年は、マカティビジネスエリアでは約4倍となる4148戸、BGCでは約2.5倍の7028戸の供給が予測されている。

 両エリアでは投資用に購入され数年間入居のないコンドミニアムも目立つようになってきており、夕食時に1割程度しか窓の明かりがともらないコンドミニアムも珍しくない。建設ラッシュ初期に建設されたコンドミニアムは、「トイレに換気扇がない」「エレベーターのドア開閉、昇降の速度が遅すぎて毎朝5分程度エレベーターを待たなければならない」など苦情も多い。

 投資用に勧められてコンドミニアムを購入した日本人からは、「賃貸で高利での運用ができる、売っても買った金額の倍近くで売れるという触れ込みだったが、2年近く空室のままで売ろうにも買った価格以下でしか処分できない。状況の好転を待つしかない」という声が聞かれる。

 間取りで見ると投資用の物件は日本でワンルームと呼ばれる「スタジオタイプ」が値段の手頃感からも販売件数が多く、供給過多となっているエリアが少なくない。一方、大型物件の完成が遅れていることもあり日本の3LDKに相当する「3ベッドルーム」は希少という声も。同リポートではマカティビジネスエリアの空室率は2015年の第3クオーター(四半期)から2016年の第4クオーターにかけて1.84%の上昇が予想されており、3ベッドルームの賃料も3%程度の値下がりを予想している。

 マニラ首都圏の不動産関係者は「売れ残っている完成間近のコンドミニアムをたくさんの日本人が買っていくが、日本人は億万長者ばかりなのか」と、事情も知らずに高額の物件に群がる日本人を不思議がる。

 引き渡し時に残金が決済できずに格安でたたき売りになる物件も有りチャンスと考える業者もおり、状況は悲喜こもごも。

 入居率が低迷しているマニラ首都圏のコンドミニアム。マカティビジネスエリア、BGCだけでも1万戸以上という昨年対比でいえば3年分の供給を迎える2016年。中古価格、賃料相場がどうなるか関係者は固唾(かたず)を飲んで見守っている。

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