マニラ首都圏マカティ市のイベント会場「R Space Events Venue」で2月7日、日本のファッション文化や観光などの魅力を発信するイベント「Enjoy Japan with Tricia Gosingtian（エンジョイ ジャパン ウィズ トリシア・ゴシンチャン）」が開催された。

ファッションショーでポーズを決めるトリシアさん

フジテレビジョン（東京都港区）とコンサルティング会社グローバルイニシアティブ（東京都渋谷区）が共同企画した同イベント。

　「EnjoyJapan.PH」は、ソーシャルメディアを活用して、エンターテインメント、食、ファッション、テクノロジー、ライフスタイルなどさまざまな日本文化の魅力を発信し日本への観光誘致を目指すプロジェクト。フェイスブックページでは約５万件の「いいね！」を獲得し、日本好きの若者に人気のファンページとなっている。

　フィリピン人が日本のファッション文化や観光などの情報が身近に感じられる機会となるよう、会場には日本の文具やファッションアイテムなどを展示・販売するほか、日本の各観光地のPRブースなどが並んだ。

　フィリピンのイベントに初出展した岡山のデニムブランド「Denim Closet」（岡山県倉敷市）代表の馬野信吾さんは「ビジネスもこれだけ人が集中しているとチャンスが出てくる。平均年齢が若いと消費も大きい。日本製品は最高の品質だと思ってもらいたいが、弊社のジーンズの価格でも、フィリピンの人たちにとっては商品が高い。まだ一般の人が気軽に買える金額ではないかもしれないが、高級店やモールにもたくさんの人が集まり、消費者の購買意欲は高いため、取引店次第では十分チャンスが巡ってくると思う。 今後のフィリピン市場に向けた販路拡大につなげたい」と期待を寄せる。

　クライマックスイベントとして行われた抽選会では、抽選券を握りしめた参加者たちが高まる期待に胸を高鳴らせていた。抽選券は1枚100ペソ（＝約260円）で入場券と共に販売された。会場内では当選番号がスクリーンに映し出されると、歓声が沸き盛り上がった。特賞は、日本行きの往復チケット。当選した男性は「本当にうれしい。家族と一緒に行って楽しみたい」と満面の笑みを浮かべた。フィリピンで大ヒットした映画「るろうに剣心」シリーズで主演を務める俳優の佐藤健さんの写真集やグッズなどが贈られると、会場中に黄色い声が湧き上がっていた。

　「The Japan Insider」と題したトークショーでは、若者に人気のファッションブロガーでモデルの「トリシア・ゴシンチャン」がスペシャルゲストで登壇。　トリシアさんは「これまでに10回以上の日本を訪れている」といい、東京・大阪・奈良・大阪など各地を巡って体験したそれぞれの観光スポットや文化、食べ物、そしてファッションなどについて話し笑顔を見せた。「日本には、ファッションも観光も楽しめる場所がたくさんあって大好き。日本人の友だちもできた。みんな優しくて一緒にいて楽しい」と日本での体験を振り返っていた。

目玉企画のファッションショー「Ryuukou Look Book（流行ルックブック）」は、日本ファッションの情報発信と衣装・アイテム物販を行う「Japacolle（ジャパコレ）」を運営するジャランジャパン（東京都渋谷区）が企画。日本とフィリピンのファッションモデルが登場し、日本で人気を集めるウィッグ、ドレス、アクセサリーで着飾り、日本発「カワイイファッション」をアピールした。

　同ショーのファッションディレクターでジャパコレ編集長の原田七穂さんは「フィリピンの方々がどう反応するか最初は不安もあったが、日本ならではの『カワイイ』をテーマとしたファッションにとても興味を持って楽しんでくれてよかった。今回の経験を生かして、またこの熱気をさらに高められるような企画を用意していきたい」と意気込む。

出演した日本人モデルの中川友里さんは「最初から最後まで日本にこだわったイベントになり、フィリピンのみんなに楽しんでもらえた。　あっと言う間だったが、たくさんのフィリピンの人たちと仲良くなれた。日本のファッションアイコンの代表として、次回はもっと日本のファッションやカルチャーを通して、フィリピン人の友達を増やしていきたい」と満足そうにほほ笑んでいた。

　このほか、日本の女の子風のヘアスタイルのアレンジの仕方をレクチャーする「Hari Show」では、ヘア＆メイクアップ・アーティストの池上結花さんが実演を交えながら、ヘアメークのポイントなどを伝授した。

　これまで、カワイイ系やコスプレ系イベントなどがマニラ首都圏各地で度々開催されてきたが、日本のハイエンドファッションブランドに特化し、フィリピンの人々に直接的な訴求を図る同イベントは目新しく人気を博した。

　一連の取り組みに、フィリピンの現地メディアも強い関心を抱いており、フィリピン最大手のテレビ局ABS-CBNも取材に駆けつけ、同社傘下のケーブルチャンネル「JeepneyTV」（SkyCable Ch.9）で放送する日本紹介番組「Lakbay Japan」でイベントの様子が取り上げられる予定という。　「Lakbay Japan」は、住友商事が放送枠を買い取る形で昨年11月末にスタートした番組で、有料ケーブルＴＶ「SkyCeble」を通じてフィリピン全土に配信されている。

　主催者の一人で「グローバルイニシアティブ」社長の北出裕 さんは「フィリピンはほかの東南アジア諸国に比べて日本ブームが起きるのが数年遅れている。しかし、ここ数年の日本食ブームや、訪日旅行客の急増傾向から、今後のブーム拡大を確信している。今回も『もっとこういうイベントを』という反響が多くあり、大きな手応えを感じた」と笑顔を見せる。